5 ❹「人気のある駅の2駅ほど先で各駅停車の駅」がB級地域の理由

02【Step2】B級地域をねらう


1 B級地域ってどんなところ?

 B級地域とはどういう地域だと思いますか? これは私が勝手に名前をつけました。よく「B級グルメ」という言葉を聞くことがあるかと思います。A級グルメのように洗練された美しさや上品な味ではないけれど、値段もリーズナブルで十分満足できるのがB級グルメです。実は不動産にもB級グルメのような地域があるのです。

 都心の一等地だったり、人気のあるお洒落な街や学生街など、いわゆるA級地域は、誰から見ても申し分のない立地条件や駅の周辺の不動産物件です。こういった不動産物件は、値段が高く利回りは低くなります。しかし、都心から少し離れているけれどねらい目の駅や地域があります。こういう地域がB級地域になるのです。

 本書では、次の4つのいずれかにあてはまるような駅周辺をB級地域と呼ぶことにします。


❶ 複数の路線が交差している駅

❷ 土地区画整理事業や市街地再開発事業が行われている駅

❸ 大型商業施設が将来できる予定の駅

❹ 人気のある駅の2駅ほど先で各駅停車の駅


 それではなぜこれらの地域がB級地域なのかを見ていきましょう。


2 ❶「複数の路線が交差している駅」がB級地域の理由

 いわゆるターミナル駅といわれる駅は、複数の路線が乗り入れています。東京の「新宿」駅などは、JR線、小田急線、京王線、東京メトロ線なが乗り入れている典型的な大ターミナル駅です。駅周辺には西武線、都営地下鉄も走っています。新宿は大都会の超A級地域ですから不動産物件の価格も高くなってしまいます。

 ですから、もっと都心から離れたところで複数の路線が交差している駅を探してみます。たとえば新宿から中央線の特別快速なら27分、各駅停車でも38分くらいのところにある「立川」駅がそうです。JR中央線、JR南武線、多摩都市モノレールなどが乗り入れています。また駅周辺は新しいデパートや大規模な商業施設が次々とできて、立川駅を使う人が年々増えています。もちろん地価も値上がりしていますが、それ以上に地域が発展しているので、区分所有マンションなどはお買い得な物件がたくさんあります。「こういう地域は賃料も安定していて、入居者が退去しても次の借り手が短期間で見つかりやすい」のです。まずは、あなたの住んでいる街周辺で「立川」のような駅を探しましょう。そして駅周辺の物件を探しましょう。

 たとえば「HOME'S不動産投資」のサイトにある「見える賃貸経営」(http://toushi.homes.co.jp/owner/)で調べてみると、新宿区と立川市の築10年以内1Kマンションの平均賃料と平均利回りは下表のようになります。数値は調べた時期によってやや変動がありますが、傾向は変わりません。「立川は新宿に比べると賃料は安いですが、物件の価格がさらに安いので利回りが高くなります」。つまり、投資初心者でも買いやすいということです。

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3 ❷ 「土地区画整理事業や市街地再開発事業が行われている駅」がB級地域の理由

 「土地区画整理事業というのは、道路、公園、河川などの公共施設を整備・改善して土地の区画を整え、宅地の利用増進をはかる事業」のことです。また「市街地再開発事業というのは、駅前の空いている土地や古い建物などを一帯で開発し、大きなビルにつくり変えるなどして地域を活性化させる事業」のことです。どちらの事業も事業前と事業後では街が大きく変わります。

 大阪の門真市は土地区画整理事業で蘇った

 たとえば大阪の門真市では、古いアパートの建て替えにあわせて土地区画整理事業を実施しました。街区や敷地をきっちり整えて賃貸マンションへ建て替えたため、見違えるように街がきれいになりました。

 土地区画整理事業を実施する前は次のような地域で、地震などにより火災が起こると大きな災害になってしまう危険がありました。


●老朽化した木造アパートが建ち並ぶ

●4メートルない狭い道路に小さな木造の戸建住宅が密集している


4メートルない狭い道路

道路の幅員は建築基準法上4メートル以上必要です。ただし、法律ができる前の道路は将来建て替えのときに、道路の中心線からバック(セットバック)することを前提に、建築基準法上の道路として認められています。一般的に「42条2項道路」ともいわれます。


 それが土地区画整理事業を実施したことで、街が蘇りました。


●老築化した木造アパートは、耐震性にすぐれた耐火造のマンションに

●狭かった道路は道幅が広がり、地域全体が区画整備されたきれいな街並みに


 川崎も六本木も市街地再開発事業で街の格が上がった

 また川崎駅前では、駅前のビルの設備が老朽化したために市街地再開発事業を実施しました。事業を行う前は中低層の古いビルが建ち並び、パッとしない駅前でしたが、事業を実施したことで高層ビルに建て替えられ、近代的な駅前に様変わりしました。お洒落な店舗が入ったことと買い物が便利になったことでより人が集まる街になりました。

 そのほかにも、有名なところでは六本木ヒルズやミッドタウンなどがあります。六本木ヒルズは約400人もの民間地権者の利害を調整する市街地再開発事業で、竣工までに17年を要しました。六本木駅周辺は今でこそ、近代的な街並みとなりましたが、それまでは都心の一等地にありながら小さな戸建や木造のアパートが建ち並ぶあまり魅力のない街でした。一方ミッドタウンは、開発される前は防衛庁の施設が建っていました。六本木ヒルズ、ミッドタウンがオープンしたあとは街全体の格が上がり、地価も大きく値上がりしました。


整理事業や開発事業の計画のある地域をねらえ

 この3つの例からわかるように、地域全体が魅力的な街に変わると集客力のある店舗が入ったり、大型施設やマンションが建ちます。それに伴って、その街に人々が流れ込んでくるので、賃貸マンションも人気が出るのです。これらの事業によってその地域は驚くほどきれいになり、整然として便利に生まれ変わります。そしてこういう地域の不動産物件は価値が上がるのです。

 ここまで大きい事業は特殊ですが、小規模な事業はたくさんあります。どこで行われる予定があるのかは地方公共団体のサイトなどに載っています。たとえば「横浜市」のサイトでは「市街地再開発事業等施行地区一覧表」(http://www.city.yokohama.lg.jp/toshi/seibichosei/dtech/saikai/chiku/)が次下図のように公表されています。

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「事業中」もしくは「検討中」の地域の不動産物件を探す

 この中で事業中もしくは検討中の地域を探して、その周辺の不動産物件の購入を検討してみましょう。ただし、再開発事業や土地区画整理事業をしているからといって、まったく知らない地域の不動産を選ぶのはお勧めできません。どうしても事業計画は計画にしかすぎないので、事業が完成したあとでイメージしていた街とは違った、人がそれほど流れてこなかったといったことが起こり得るからです。自分のよく知っている土地や地域、住んでいるところに近い地域、土地勘のある地域であれば、地域をよく知っている分、情報も入りやすいしイメージがわきやすいでしょうから、そういった切り口で「事業中」「検討中」の周辺不動産物件をねらうのがB級地域ねらいのコツです。

 ほかにも、リクルートが提供している「不動産・住宅サイト SUUMO」のサイトにある「再開発・複合開発エリアのマンション特集」(http://suumo.jp/tokushu/daikibo_kaihatsu/mansion_kanto/)に出ている情報を参考にして、今どこで事業が行われているのかを知ることができます。

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4 ❸「大型商業施設が将来できる予定の駅」がB級地域の理由

 駅周辺や徒歩圏内の範囲にスーパーや量販店などの大きな商業施設ができると、その街は買い物が便利になるため、人が流れ込んできて不動産市場も人気が出ます。

 大きな商業施設のオープン予定情報は、最寄りの役所、新聞やテレビ、インターネットなどで知ることができます。たとえば、こちらのサイトでは全国の商業施設のオープン予定がわかります。

 「Real iD」のサイトにある「2016〜2022年商業施設オープン予定カレンダー」(http://realid-inc.com/column/2014/10/17-061828.html)や「NAVERまとめ」にある「「2015年春オープン予定」注目の商業施設まとめ」(http://matome.naver.jp/odai/2142111594228356901)にも今後の予定がまとめられています。こういう地域の不動産物件を購入するのは将来の価格の値上がりを期待した、転売利益をねらう面からも面白いです。


「武蔵小金井」のような街の商業施設の完成前に不動産物件を買う!

 新宿まで特別快速で21分、各駅停車でも28分程度のJR中央線の「武蔵小金井」駅は、都心まで近いわりにはつい最近までパッとしない駅でした。賃貸の人気も今ひとつさえない地域でした。ところが数年前、再開発事業によって駅前が劇的に変わりました。駅前にはJR東京西駅ビル開発運営の「セレオ武蔵小金井」や「アクウェルモール」というショッピングビルと「イトーヨーカドー」ができました。

 大きなスーパーとショッピングモールができたことで、駅の乗車人員が増え、人の流れが変わりました。JR東日本の発表によると2014年の「武蔵小金井」駅の1日平均の乗車人員は5万9386人で、再開発事業前の2008年の5万5413人から比べると4000人近く増えていることがわかります。

 また2013年調査で、中央線の1日あたり乗車人員の10年前比較では「武蔵小金井」駅の伸び率は7.6倍となっており第7位にランクされています。このように大型の商業施設ができると、駅の乗車人員が増えて人が集まり活気に満ちた街となります。「B級地域において、商業施設の完成前にマンションをねらうのが基本」です。

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5 ❹「人気のある駅の2駅ほど先で各駅停車の駅」がB級地域の理由

 若者からだけではなく、幅広い世代から絶対的に支持される人気のある駅があります。たとえば東京でいえば「下北沢」「代官山」「自由が丘」「吉祥寺」といった駅です。

 都心まで電車で15分程度で行けて、周辺には学校も多く、素敵なお店やレストランがたくさんあるので、新宿や渋谷に行かなくても、その街ですべてが事足りてしまいます。学生にもサラリーマンにも人気がある街です。当然のことながら賃料も高いので住むには少しハードルが高くなります。

 こういう街は昔からの住宅地が多いので、まとまった規模の土地の供給が少ないため、新しいマンションがなかなか建ちません。ということは物件数が少なく、あっても築年数が古かったり幹線道路に面していて環境がよくなかったり、かなり高めの価格だったりします。ひと言でいうと、良質な物件が少ない地域なのです。

 ここで少し目線を変えて、「人気のある駅から2駅、ないしは4駅ほど先の急行が止まらない各駅停車の駅を選ぶのがポイント」です。


「下北沢」なら「梅ヶ丘」か「千歳船橋」あたりをねらう

 ここでは「下北沢」から4つ先の駅である「千歳船橋」で、次の条件の売り出し価格をレインズで調べて比較しました。


【築年数】15年以内

【広さ】 18〜25㎡

【駅徒歩】10分以内


 この条件で下北沢駅の坪単価を調べると280万円程度なので、6坪だと1700万円になります。一方、千歳船橋駅の坪単価は220万円程度なので、6坪だと1300万円になります。

 賃料水準で見ると、下北沢駅の坪賃料は1万4000円前後なので、6坪だと8万4000円になります。一方、千歳船橋駅の坪賃料は1万2000円前後なので、6坪だと7万2000円となります。両駅の価格、賃料、利回りは下表のようになりました。

 どうですか? 下北沢駅の1Kは、不動産物件の価格が高めで利回りは低いです。でも、4駅都心から離れるだけで、利回りが高い良質な不動産物件が数多く見つかります。

 このように、「人気のある駅の2〜4駅先の各駅停車の駅の物件」をしっかりとした基準で探すことが成功大家さんへの近道になるのです。

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