8 なかなかないけれど、あれば超お得な不動産物件!

4 選んではいけない❸ 賃貸が成り立たない地域に建っている不動産物件

 不動産の仕事に日々たずさわっていると、時折、こんなところにつくらないだろうと思う場所になぜかマンションが建っているのを見かけます。自宅として利用する場合は多少不便な場所に建っていてもあまり問題になりませんが、賃貸の場合は「不便」というのは命取りになりかねません。「賃貸の部屋を探している人たちは、購入する人たちよりも“利便性”に重点を置いて探す」からです。

 ところで、そもそも賃貸が成り立たないような地域の不動産ってどんな不動産でしょうか。次の3つのような不動産物件は人気がありません。


❶ 駅から遠い

❷ 近くにコンビニやスーパーがない

❸ 都心まで遠い


❶ 駅から遠い

 1Kやワンルームなどの単身者向けのマンションは、確実に駅から近い物件が好まれます。徒歩で10分以上かかると「遠いなー」と思われてしまいます。ただしこれは首都圏での話です。電車よりも車や自転車を使うことが日常的になっているような地方都市や郊外の地域なら、駅からの距離よりも大型のショッピングモールやスーパーが近くにあるとか、デパートや銀行が集まっている中心市街地からの距離が重要になってきます。

 また駅から遠くても、近くに大企業の支店や営業所、工場などが密集していたり、大学があるといった場合は、その企業に通勤している人や大学に通う学生の安定したニーズがあるので、駅からの距離はあまり関係なくなります。

 ただここで注意しておかなければならないことは、企業や大学は閉鎖したり移転したりする可能性があるということです。最近はリストラや統合、また大学は都心回帰の影響などで場所が都心に移ったり、工場を閉鎖してしまうケースも多くあります。たとえば群馬県のとある場所などは、大きな企業の工場が撤退したため、工場に勤める人をあてにして建てたアパートは一気に空室が目立つようになってしまいました。このような例は全国にたくさんあります。

 駅から遠くて少し不便な場所であっても、複数の企業が集まっている企業団地のようなところだとリスクは小さくなります。

 駅から10分以内のマンションを選ぶのがベストですが、価格帯や利回りの面で、なかなかそういった物件を選ぶことが難しい場合には、「駅から遠くても企業や大学が複数あるからニーズはあるという地域から選ぶ」ようにしましょう。


❷ 近くにコンビニやスーパーがない

 1Kやワンルームマンションを借りる人たちはどんな人でしょうか? メインターゲットは次のような人たちです。


●独身の学生

●独身のサラリーマンやOL

●単身赴任のお父さん


 たまに料理が趣味で、食事は家ですべてつくるという男性単身者もいますが、1Kやワンルームマンションのキッチンはそもそも本格的な料理をするようにはできていません。また、このようなマンションの借り手は、近くのコンビニやスーパーでお弁当を買ったりお惣菜を買うことが圧倒的に多い層です。単身者の必需品、それは朝早くから夜遅くまで開いているコンビニやスーパーなのです。「コンビニが近くにあること」、これはとても重要なポイントとなります。

 そして、「駅前や通り沿いにファミリーレストランやファーストフード店があればなおいい」でしょう。また、女性だと「夜道が暗くない」とか「人通りが多い」など、危なくないことも不動産物件を決める大きな理由となります。そこで、次のようなところに建っているマンションは、賃貸での募集はちょっと厳しいといえます。


●周りにコンビニやスーパーがない

●駅前や通り沿いにファミリーレストランやファーストフード店がひとつもない

●街灯がなかったり道が狭くて夜道が危険。「痴漢に注意」と書かれた看板がある


❸ 都心まで遠い

 都心までの距離も、賃貸物件を決めるうえでの重要な要素になります。単身者にとっては、遊ぶにも学校や会社に通うにも便利なのが、都心に近い場所だからです。だから都心に近いほど家賃は高く取れますが、どうしても不動産物件の購入価格が高くなるため、利回りは低くなってしまいます。資産価値はあるかもしれませんが投資のうまみはあまりないということになります。

 たとえば、都心から電車に乗って1時間以上かかる埼玉のある地域の1Kマンションは300万円でした。賃料は月額3万5000円なので、表面利回りは14%になります。一方、都心から電車で10分のところにある1Kマンションの価格は1200万円でした。賃料は7万円取れているので、表面利回りは7%となります。この2つのマンションを比べるとどうでしょうか? 安定性や将来高く売れるかもしれない期待値は、都心に近いマンションのほうが間違いなく高くなりますが、その分購入価格も高くなるので利回りは低くなってしまいます。

 これを解消するには場所の選び方を工夫することです。「基本は都心に近い不動産を選ぶこと」ですが、予算や投資採算性を考えた場合のベストな場所については、次節で詳しくお話しします。


5 「供給過剰地域」と「事故物件」に注意せよ

 ここまで、「❶ 新耐震基準前に建てられた古いマンション」「❷ ひと部屋が異常に小さいワンルームマンション」「❸ 賃貸が成り立たない地域に建っている不動産物件」という注意点から、「こんな不動産を選んではいけません」というお話をしてきましたが、できればこれからお話しする2点も4番目、5番目の注意点として覚えておいてください。


❹ 供給過剰地域にある不動産物件

❺ その部屋は自殺や他殺などが過去にあった「事故物件」でないか


6 選んではいけない❹ 供給過剰地域にある不動産物件

物件のある地域の空室状況がどうなっているか調べる

 その地域のアパートやマンション全戸数に対する空室戸数は何パーセントくらいかを表している「空室率」を調べてみましょう。

 「HOME'S不動産投資」のサイトにある「見える賃貸経営」(http://toushi.homes.co.jp/owner/)ページを見ると、だいたいの空室率がわかります。空室率の統計は総務省統計局「住宅・土地統計調査報告」を引用して掲載しています。住宅・土地統計調査(5年ごと)は、わが国の住宅とそこに居住する世帯の居住状況、世帯の保有する土地などの実態を把握し、その現状と推移を明らかにする調査です。ただし、データが5年ごとと古く(現状平成20年度のもの)、現在より空室率がかなり高めなので、「全国平均と比べたり、エリア間での比較として使う」のがいいでしょう。一般的に「都心であればあるほど、人気の高い地域であればあるほど空室率は低くなる」傾向にあります。ちなみに不動産鑑定で計算する場合の空室率は5%という数字を使います。したがってこの本でもシミュレーションの空室率は5%を採用します。

 空室率で気になるのが、地域的な要因のほかに、人の出入りが激しくなる時期やまったく動かない時期はどうなるかといった「季節的」な要因です。季節的な問題に関しては2〜3月は人の移動が激しいので、その分不動産物件も多くなります。逆に、夏や年末は人の移動が少ない分、物件数が少なくなります。ということは、「季節的な要因による空室率は、1年を通してあまり変わらない」と思って大丈夫です。


空室率の目安

 「全国の空室率と比べて、検討している地域の空室率がどうなっているのか」が、ひとつの目安になります。「見える賃貸経営」のページに、全国の空室率が載っています。たとえば「“賃貸用住宅”の全国の空室率の平均が19.0%だとすると、これよりも高い地域だと空室率は高め」ということになるので、注意が必要になります。ちなみに全国でも最も空室率が低いと思われる港区の賃貸用住宅の空室率は、同時期13.9%でした。最も空室率が低い地域と全国平均の差が5%ということは、数字的にはわずかな差しかありません。しかしこの差が投資リスクに大きく影響するということを覚えておいてください。

 なお、ここには想定利回りも出ています。港区の利回りが全国に比べるといかに低いかがわかります。


7 選んではいけない❺ 事故物件は何としても避ける

 事故物件というのは、自殺や他殺などがあった不動産物件のことです。通常、「事故物件は相場よりも3割近く安くなる」といわれています。そして都心よりも田舎のほうが値段は安くなり、場合によってはいくら価格を下げても売却できない不動産もあります。しかし都心ではあまり気にしない人が多く、少し価格を下げると売買でも賃貸でもすぐに買手や借り手がつくケースも見られます。このような「事故物件は売買・賃貸ともに、不動産業者が“重要事項説明書”で説明する義務があります」。そして「何年以上経ったら説明しなくてもいい」という明確な判断基準はありません。過去の判例などから「2〜3年は説明するのが妥当」のようです。ただし説明義務があるのは事故が発生した住戸のみとされており、隣室や階下の部屋については説明義務はありません。

 あなたが検討している不動産物件が、もしかすると過去に事故物件だった可能性がないとはいえません。「大島てる:事故物件公示サイト」(http://www.oshimaland.co.jp/)では、全国の事故物件を開示しています。どこまで信憑性があるかは不明ですが、事故が起こった部屋まで特定できるため、多数の投資家がこのサイトを参考にしているようです。


不動産投資に失敗しないための4カ条

新耐震基準後に建てられたマンション部屋の面積が小さすぎないこと賃貸ニーズがちゃんとある地域の不動産❶〜❸で絞り込んだ不動産物件について、「地域の空室率」が全国の空室率の平均以下で「事故物件」ではないことをチェックする


8 なかなかないけれど、あれば超お得な不動産物件!

 優良物件を探し出す裏ワザなんて、基本的には存在しません。これが正直なところですが、それでは身も蓋もなくなってしまうので、あえてお得な不動産物件を探す方法を挙げると、「知りあいや仲のいい不動産会社から公開前の情報をもらう」これに尽きます。こういった情報をもらえたら超お得ということになるのですが、お得感のある不動産物件は広告などで表に出ることはなく、不動産会社の営業担当の知りあいやストックしているお客様から決まってしまう場合がほとんどです。そういう意味では、「優良物件の情報が手に入りそうな不動産会社の営業担当といかに仲よくなるかがポイント」です。


どんな情報が「優良物件の情報」?


❶ 売主の事情で多少安くても早く売却したいと考えている不動産物件情報

 次のような事情で早く手放したい不動産物件を、業界用語で「売り急ぎ物件」と呼びます。売主側の事情で早く現金がほしいため、一般的な販売価格よりもかなり安い価格で売却しようとします。売り急ぎ物件は、通常不動産会社が購入し、少しリフォームなどをして高い価格で再販しますが、運よく情報をゲットできれば、間違いなくお得物件になります。


●離婚をするので早くマンションを売却して慰謝料に充てたい

●相続が発生したが税金を払うお金がないので、早く売却したい

●ローンの返済が厳しいので、安くてもいいから早く売却してしまいたい


❷ 相場を下回る不動産物件情報

 そんな不動産があるの? と思われるかもしれませんが、売主が不動産についてまったく知識がなく、不動産会社に丸投げでお任せしていて、しかも不動産会社がその地域に精通していないケースでは、弱気な価格設定をしてしまうことがあります。また、価格が上昇しているのに気がついていない場合なども価格設定を間違えやすいことがあります。日ごろから物件の相場を見ている不動産会社から、そういった不動産物件情報をゲットできれば、間違いなくお得物件になります。


❸ 不動産市場が落ち込んでいる時期の不動産物件情報

 不動産物件の価格は、株や為替といった金融商品と同じように、一定のサイクルがあります。そのサイクルの判断はとても難しいのですが、たとえば平成バブルが崩壊したあとやリーマンショック後、不動産市場も大きく落ち込みました。毎年10%以上下落し続けた時期もあります。このようなときに利回りを重視して購入してみるのは面白いです。この時期に、高利回りの不動産物件情報を運よくゲットできれば、間違いなくお得物件になります。


なかなかないけどあれば超お得物件

●売主の事情で多少安くても早く売却したいと考えている不動産物件

●相場を下回る不動産物件

●不動産市場が落ち込んでいる時期に購入する不動産物件


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